Q&A
2021年11月30日(火曜日)
退職金を正社員だけに支給するのは違法?
令和2年10月13日、メトロコマース事件の最高裁判決で、非正規労働者に対して退職金を支給しないことは、不合理とまでは言えないという判断がなされました。
メトロコマース事件は、同一労働同一賃金の考え方の判断基準になる裁判として、注目されていました。
この事件は、駅構内の売店で勤務する正社員と契約社員の、退職金の支給に関する相違が不合理か否かが争点でした。第一審では不合理ではないと判断され、第二審(高裁)では不合理との判断が下され、契約社員にも正社員の4分の1の退職金が認められました。そして最高裁では、不合理とまでは言えないと判断されましたが、この判決をもって、非正規労働者には退職金を支給しなくても良いと考えるのは間違いのようです。
10月15日、「非正規労働者に年末年始手当などの諸手当を支給しないことは不合理」という判決の出ています。(日本郵便事件)
同一労働同一賃金の考え方は、正規と非正規との、不合理な格差をなくしていこうというものです。
正規とは正社員のこと、非正規とは契約社員・パートタイマーやアルバイト、派遣労働者といった、正社員外の雇用形態を指します。労働条件に差があること自体は問題ありませんが、同じ職場で同じ業務に従事しているのに、雇用形態が違うという理由だけで待遇に格差があるのはおかしいという事です。
つまり、業務内容・転勤や配置転換の有無、責任の程度などにおいて、正規と非正規で明確な違いがあれば、合理的な理由があるものとして、待遇に格差があっても問題ありません。
今後の対応策としては、正社員と非正規労働者の、業務内容や責任の違いを説明できるように明確化することです。就業規則や雇用契約書において、行政機関に質問された場合にはきっちり説明できる状態にしておくことが重要です。
神戸の社労士事務所、もとまち社労士事務所では、法改正や判例に対応した就業規則や雇用契約書の改訂も承っております。
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