Q&A
2021年10月13日(水曜日)
競業避止義務とは?
従業員が退職してしまうことは避けられないことですが、ノウハウを持って同業他社へ転職してしまうのを防ぐために、退職時に誓約書をとっておく方法があります。
誓約書に同意することで、従業員は「競業避止義務」を負うことになります。競業避止義務とは、同業他社に転職したり、同業の事業を自ら始めたりしない義務です。
従業員が退職すると、転職先にノウハウや技術、時には顧客を持って行ってしまうケースもあります。ただ、大抵の転職は同じ業種へ移ることが多く、転職先も、これまでの経験をフルに活かして働いて欲しいと思うのも当然だと思いますが、誓約書にはどの程度効力があるのでしょうか?
日本では憲法で「職業選択の事由」が保障されており、基本的に退職後どこで何をやろうと自由です。ただ、競業避止義務に効力がない訳ではありません。誓約書で同意したにもかかわらずライバル会社へ転職した従業員は、場合によっては転職前の会社から訴えられ、違約金等を請求されるケースもあります。
前職での地位、役職、業務内容や、競業避止義務を負わせることが合理的で、会社に競合を禁止する正当な目的があること等の要素を総合的に見て判断されることになります。
入社して間もない従業員や、役職がない従業員等の転職を制限することは難しいかもしれませんが、誓約書を交わしておくことで競業避止義務を意識してもらう効力はあるかと思います。もちろん顧客情報や社内の機密情報を持ち出しは犯罪であり、損害賠償請求等の対象になる可能性があります。