Q&A
2021年12月9日(木曜日)
一時的に従業員数が10人以上になる場合、就業規則の届出は必要か?
神戸市、元町の社会保険労務士事務所、「もとまち社労士事務所」社会保険労務士の小林です。常時10人以上の労働者を使用する事業場では、就業規則を作成し、管轄の労働基準監督署へ届出る必要があります。業種によっては、一時的な繁忙期に対応するため、1か月や2か月といった期間契約で、臨時的に従業員を雇用する場合があります。この期間契約の従業員は、10人に含めて考えるべきなのでしょうか?「常時」10人以上となっていますので、期間契約が契約が終了すれば再び10人未満に戻るような場合は、常時10人以上とはならず、届出義務は発生しません。逆に、期間の定めのある従業員が大半で、1日の就業時間が2~3時間であったとしても、常態として10人以上になっている事業場では、就業規則の届出義務があります。従業員が10人に満...続きを読む
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2021年11月30日(火曜日)
退職金を正社員だけに支給するのは違法?
令和2年10月13日、メトロコマース事件の最高裁判決で、非正規労働者に対して退職金を支給しないことは、不合理とまでは言えないという判断がなされました。メトロコマース事件は、同一労働同一賃金の考え方の判断基準になる裁判として、注目されていました。この事件は、駅構内の売店で勤務する正社員と契約社員の、退職金の支給に関する相違が不合理か否かが争点でした。第一審では不合理ではないと判断され、第二審(高裁)では不合理との判断が下され、契約社員にも正社員の4分の1の退職金が認められました。そして最高裁では、不合理とまでは言えないと判断されましたが、この判決をもって、非正規労働者には退職金を支給しなくても良いと考えるのは間違いのようです。10月15日、「非正規労働者に年末年始手当などの諸手当を支給しない...続きを読む
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2021年11月27日(土曜日)
労働者名簿とは?
従業員を採用する場合、まず履歴書や職務経歴書を提出してもらい、書類選考を行うのが一般的です。その後面接を経て、無事に採用となった場合には、「労働者名簿」を作成する必要があります。労働基準法では、事業所ごとに「法定帳簿」を作成し、保管することを定めています。「労働者名簿」は「賃金台帳」「出勤簿」とともに、法定3帳簿と呼ばれます。(「有休管理簿」を含めて法定4帳簿と呼ばれることもあります。)労働者名簿を作成するために必要な情報は、ほぼ履歴書からひろう事ができるため、中には、履歴書を労働者名簿として扱い、別に労働者名簿を作成していないケースもありますが、それでは不十分です。労働者名簿は常に最新の情報に更新されていなければならず、家族構成や住所などは、採用時と変わっている事も多いため、変更があった...続きを読む
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2021年11月20日(土曜日)
育児休業期間中の賞与に社会保険料はかかる?
被保険者から育児休業取得の申し出があった場合、事業主は「健康保険・厚生年金保険 育児休業等取得者申出書(新規・延長)/終了届」を提出することで、育児休業期間中の保険料が免除されます。保険料は事業主、被保険者共に免除されます。 被保険者の育児休業が予定より早く終了した場合には、「育児休業等取得者終了届」を提出します。(※用紙は同じです) 免除となるのは、給与に対してだけでなく、賞与が支給された場合にも免除となります。ただし、賞与支払届の提出は必要です。 免除期間に関して、2022年10月に改定が予定されています。現在は「育休の開始月から終了日翌日の前月」となっていますが、改定後は育休の開始日と終了日の翌日が同月内である場合、育児休業取得日数が2週間以上あれば、その月は保険料...続きを読む
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2021年11月15日(月曜日)
振替休日と代休の違いは?
もとまち社労士事務所、社会保険労務士の小林です。兵庫県、神戸市の元町駅近くで開業しております。「振替休日」と「代休」、似たような言葉ですが、意味はハッキリと区別されています。予め、休日と定められていた日を労働日とし、代わりに他の労働日を休日とすることを「休日の振替」といいます。この代わりに休日とした日のことを「振替休日」といいます。元々の「休日」と「労働日」を入れ替えただけですので、割増賃金の支払い義務は発生しません。これに対して「代休」とは、すでに休日労働をした実態があった後に、その代償としてどこかの労働日を休みにすることです。前もって休日を振り替えている「振替休日」と違い、休日労働をした事実がありますので、休日出勤をした日は割増賃金を支払う必要があります。休日の考え方は「法定休日」と「...続きを読む
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2021年11月10日(水曜日)
飲食店のアルバイトが皿を割った場合に、罰金を徴収することは可能か?
従業員が業務中に商品や備品を壊してしまった場合、会社側は従業員に弁償させたり、罰金をとることは問題ないのでしょうか? 会社が労働者に対して損害賠償請求をすることは違法ではありません。ただしそれは、故意や過失が認められる場合であり、労働者本人の地位や役職、責任の程度、職場の防止措置の状況などを総合的に考慮して、判断されることになります。金額も会社側の言い値で認められる訳ではありません。 ポイントとなるのは、労働基準法第16条「賠償予定の禁止」と24条「全額払いの原則」です。 16条では、労働契約の不履行について違約金を定めたり、損害賠償額を予定する契約をしてはいけない旨が定められています。従って、「〇〇を壊したら500円」といったルールは原則として違法になります。 ま...続きを読む
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2021年10月29日(金曜日)
副業で社会保険料は増える?
社会保険料は原則として役員報酬や給与に対して掛かります。二か所以上の法人から役員報酬を受けている場合などは、二事業勤務として、役員報酬を合算して社会保険料が徴収される場合もあります。では、会社員が副業で収入を得た場合には、社会保険料に影響はあるのでしょうか?先に述べたように、社会保険料は役員報酬や給与の対して掛かるため、それ以外の所得があっても基本的に変わりません。二箇所以上の勤務先で「給与」を得ている場合には、どちらも給与なので影響することはありますが、例えば副業のネット販売で得た収入があったとしても、給与から控除される社会保険料に影響はありません。所得税法上では、役員報酬や給与は「給与所得」となります。社会保険料が掛かるのは基本的にこの給与所得です。フリーランスで得た収入などは「事業所...続きを読む
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2021年10月25日(月曜日)
役員は雇用保険に入れない?
労災保険と雇用保険は、「労働者」が加入するものです。法人の役員は、使用者の指揮命令下にある者ではなく、業務執行権を持つ者になりますので、労災保険にも雇用保険にも原則として入ることはできません。これまでいち労働者として勤務していた人が、取締役などの役員になった場合には、資格を喪失することになります。ただ例外もあります、肩書が役員であっても、実態として使用者の指揮命令下におかれ、他の従業員と同じように就業規則が適用され、勤怠管理をされているような場合には、「兼務役員」として、労働保険(労災保険+雇用保険)に加入できるケースがあります。兼務役員として雇用保険に加入する場合、「役員報酬」と「給与」を分ける必要があります。役員としての業務に対して支払われるものは「役員報酬」となり、労働者としての業務...続きを読む
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2021年10月25日(月曜日)
業務災害か否かを判断する「業務起因性」とは?
労災保険は「労働者災害補償保険法」という法律に定められており、労働者が仕事中や通勤途中にケガをした場合などに一定の給付が受けられるものです。他の社会保険制度に比べて手厚い内容になっており、事業主の支払う保険料も低く、労働者は保険料の負担はありません。原則として、労働者を一人でも使用していれば、当然にこの制度の適用を受けることになります。労災保険の対象となる範囲は、労働者の「業務上の事由」または「通勤」による、負傷、疾病、障害、死亡等です。これ以外は「健康保険」などの対象になります。業務災害に該当すれば、労災保険の保険給付の対象になる訳ですが、「業務災害」とは、労働者の業務上の負傷、疾病、障害または死亡のことを言います。そして、業務災害と認められるためには、業務遂行性(労働者が被災時に事業主...続きを読む
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2021年10月20日(水曜日)
65歳で2号被保険者ではなくなる?
神戸市で「もとまち社労士事務所」を開業しております。社会保険労務士の小林です。たまに疑問に思う方がおられますが、「社労士事務所」や「社会保険労務士事務所」、他にも「個人名事務所」や「~オフィス」などもありますが、社会保険労務士業務を行う事務所の名称にあまり細かい決まりがなく、特に違いはありません。法人化している場合は「社会保険労務士法人」という肩書が前か後ろに付くことになります。社会保険労務士の呼び方も、「社労士」や「労務士」に違いはありません。以前年齢ごとに発生する労務手続きをトピックスにあげましたが、厚生年金に関して、少し追記します。日本の公的年金制度は、1階が国民年金、2階が厚生年金の2階建てになっています。厚生年金に加入している会社員や公務員は、基本的には厚生年金に加入している間は...続きを読む