Q&A
2021年10月25日(月曜日)
役員は雇用保険に入れない?
労災保険と雇用保険は、「労働者」が加入するものです。法人の役員は、使用者の指揮命令下にある者ではなく、業務執行権を持つ者になりますので、労災保険にも雇用保険にも原則として入ることはできません。これまでいち労働者として勤務していた人が、取締役などの役員になった場合には、資格を喪失することになります。ただ例外もあります、肩書が役員であっても、実態として使用者の指揮命令下におかれ、他の従業員と同じように就業規則が適用され、勤怠管理をされているような場合には、「兼務役員」として、労働保険(労災保険+雇用保険)に加入できるケースがあります。兼務役員として雇用保険に加入する場合、「役員報酬」と「給与」を分ける必要があります。役員としての業務に対して支払われるものは「役員報酬」となり、労働者としての業務...続きを読む
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2021年10月25日(月曜日)
業務災害か否かを判断する「業務起因性」とは?
労災保険は「労働者災害補償保険法」という法律に定められており、労働者が仕事中や通勤途中にケガをした場合などに一定の給付が受けられるものです。他の社会保険制度に比べて手厚い内容になっており、事業主の支払う保険料も低く、労働者は保険料の負担はありません。原則として、労働者を一人でも使用していれば、当然にこの制度の適用を受けることになります。労災保険の対象となる範囲は、労働者の「業務上の事由」または「通勤」による、負傷、疾病、障害、死亡等です。これ以外は「健康保険」などの対象になります。業務災害に該当すれば、労災保険の保険給付の対象になる訳ですが、「業務災害」とは、労働者の業務上の負傷、疾病、障害または死亡のことを言います。そして、業務災害と認められるためには、業務遂行性(労働者が被災時に事業主...続きを読む
Q&A
2021年10月20日(水曜日)
65歳で2号被保険者ではなくなる?
神戸市で「もとまち社労士事務所」を開業しております。社会保険労務士の小林です。たまに疑問に思う方がおられますが、「社労士事務所」や「社会保険労務士事務所」、他にも「個人名事務所」や「~オフィス」などもありますが、社会保険労務士業務を行う事務所の名称にあまり細かい決まりがなく、特に違いはありません。法人化している場合は「社会保険労務士法人」という肩書が前か後ろに付くことになります。社会保険労務士の呼び方も、「社労士」や「労務士」に違いはありません。以前年齢ごとに発生する労務手続きをトピックスにあげましたが、厚生年金に関して、少し追記します。日本の公的年金制度は、1階が国民年金、2階が厚生年金の2階建てになっています。厚生年金に加入している会社員や公務員は、基本的には厚生年金に加入している間は...続きを読む
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2021年10月19日(火曜日)
3号被保険者とは?
3号被保険者という言葉を聞いたことのある方もいると思いますが、1号や2号もあり、3号は扶養と似たような意味と考えられている方も多いかと思います。この1号・2号・3号というのは、年金(国民年金)の被保険者の呼び方です。社会保険といえば、健康保険と厚生年金保険を合わせてこう呼びますが、健康保険ではこのような呼び方はしません。ただ、実務的には健康保険と厚生年金保険の手続きは同時に行う事が多いため、混同し易くなります。公的年金には、大きく分けて「国民年金」と「厚生年金」があります。3号というのは国民年金の呼び方ですが、厚生年金の被保険者(サラリーマンや公務員の加入者で、2号被保険者と呼ばれる)の扶養に入る人は、国民年金の3号被保険者となります。夫・・・会社員で厚生年金に加入していると、必然的に国民...続きを読む
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2021年10月18日(月曜日)
管理監督者とは?
名ばかり管理職という言葉がありますが、管理監督者に関しては、労働基準法第41条で定義されています。【労働基準法 第41条】この章,第6章及び第6章の2で定める労働時間,休憩及び休日に関する規定は,次の各号の一に該当する労働者については適用しない。① 別表第1第6号(林業を除く。)又は第7号に掲げる事業に従事する者② 事業の種類にかかわらず監督若しくは管理の地位にある者又は機密の事務を取り扱う者③ 監視又は断続的労働に従事する者で,使用者が行政官庁の許可を受けたもの一定の労働者に関しては、労働時間・休憩・休日の規定が適用されない旨を定めています。つまり、第41条で定める労働者は、残業や休日出勤をしたとしても、残業代や休日出勤手当を支払う必要はないということです。管理職という言葉は幅広く使われ...続きを読む
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2021年10月18日(月曜日)
テレワークの注意点は?
コロナの影響で、多くの事業所がテレワークを導入していますが、注意点を今一度確認しておきます。まず、労働時間の管理ですが、出社していても在宅勤務でも、1日8時間、1週40時間の法定労働時間に変わりはありません。(労働基準法第32条)変形労働時間制やフレックスタイム制を導入している場合は、自宅でテレワークを行う際にも適用可能です。労働者の専門性が高く、仕事の進め方を本人の裁量に委ねた方が良い場合は、裁量労働制を活用することも出来ます。ただし、すでに雇用している人に自宅でのテレワークを指示する場合には、労働契約の変更を出来る限り書面で確認するよう求められています。また就業規則に人事異動や在宅勤務の定めがない場合は、これらの規定する必要があります。通信料に関するルールなども、書面で明確にし、労働者...続きを読む
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2021年10月14日(木曜日)
雇用契約書と労働条件通知書の違いは?
従業員を採用する際には、雇用契約書に使用者と労働者それぞれが署名・押印のうえ、各1部を保管する方法が一般的です。書類の名称は、雇用契約書であったり、労働契約書、労働条件通知書などがあるかと思いますが、契約書には通常労使お互いの署名押印の欄があります。通知書は使用者からの通知で、労働者の署名押印は入らないものが多いかと思います。雇用契約は口頭でも成立しますが、労働基準法では労働時間や賃金などに関して、労働条件を明示した書類を通知することが定められていますので、少なくとも労働条件通知書は発行する必要があります。雇用契約書や労働条件通知書の書式に特に決まりはありませんが、絶対に記載しなければならない事項が決められています。契約期間と更新の有無、就業場所と業務内容、始業と終業の時刻、賃金、昇給、賞...続きを読む
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2021年10月14日(木曜日)
解雇予告手当とは?
労働者を解雇する場合、少なくとも30日前には本人に予告しなければならないことになっています。予告なく解雇する場合には、平均賃金の30日分以上の「解雇予告手当」を支払う決まりがあります。言い換えれば、必要となる予告日数は、解雇予告手当として支払う平均賃金の日数分だけ短縮することができます。例えば10日前に予告した場合には、20日分の平均賃金を解雇予告手当として支払うことになります。ただ、懲戒解雇により解雇する場合や、試用期間中(採用後14日)に解雇する場合には、解雇予告手当を支払う必要はありません。(懲戒解雇が妥当であるかどうかは別途検討する必要があります。)「平均賃金」は、解雇予告手当の他にも、休業手当や労災給付の計算の際にも使われますが、基本的には(直前3ヶ月分の賃金の総額÷3ヶ月の暦日...続きを読む
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2021年10月13日(水曜日)
競業避止義務とは?
従業員が退職してしまうことは避けられないことですが、ノウハウを持って同業他社へ転職してしまうのを防ぐために、退職時に誓約書をとっておく方法があります。誓約書に同意することで、従業員は「競業避止義務」を負うことになります。競業避止義務とは、同業他社に転職したり、同業の事業を自ら始めたりしない義務です。従業員が退職すると、転職先にノウハウや技術、時には顧客を持って行ってしまうケースもあります。ただ、大抵の転職は同じ業種へ移ることが多く、転職先も、これまでの経験をフルに活かして働いて欲しいと思うのも当然だと思いますが、誓約書にはどの程度効力があるのでしょうか?日本では憲法で「職業選択の事由」が保障されており、基本的に退職後どこで何をやろうと自由です。ただ、競業避止義務に効力がない訳ではありません...続きを読む
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2021年10月13日(水曜日)
慶弔休暇を与える義務はあるのか?
多くの企業で、「特別休暇」という名称で、身内に不幸があった場合や、結婚・出産等の際に休暇を与える制度があり、就業規則に定められています。休日の定めは色々あり、事業所としての決まった定休日、有休、育児休業、介護休業、災害等があった場合の休業など様々です。有休などは、法律で具体的にどういう人に何日の休みをいつ与えなければならないか決められていますが、慶弔休暇に関しては法律の定めはありません。会社が基本的には自由に決めることができ、与えなくても問題ありません。また、休みは与えるが、その日分の給与は減額するとしても問題ありません。公務員にも慶弔休暇の制度はあり、これを基準に定めをしている事業所もあります。結婚・出産・死亡などの出来事があった際に、1日~7日程度の休みを、給与を減額せずに取得できる内...続きを読む